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株式会社ピー・ビーシステムズ

新時代のリスクに立ち向かうITスペシャリスト集団ピー・ビーシステムズ

サイバー攻撃やシステム障害の増加……今やリスクはそこらじゅうに

「99.99%」――この数字を見て、どのような印象をもつだろうか。多くの人は「ほぼ100%」と感じることだろう。しかし、逆に「100%ではない」という見方もできる。株式会社ピー・ビーシステムズは、顧客の基幹システムに潜む「0.01%」のリスクにいち早く気付き、顧客企業のメリットを追求する新たなチャレンジを進めている。

近年、システム障害やサイバー攻撃に関するニュースを目にする機会が多いとは感じないだろうか。東京証券取引所のシステム障害による取引停止のトラブルは記憶に新しいところ。他にも、大手企業や警察庁をはじめとする行政機関、大学など600以上の組織がサイバー攻撃を受けていたことも2020年11月に報道された。被害を受けた組織の中には、コロナ禍におけるテレワークや遠隔操作に使用される情報機器の欠陥が悪用されたケースも多い。withコロナ、afterコロナ時代の入口に立ち、表面化していない被害も今後、顕在化していくことだろう。

創業以来、20年以上にわたって基幹システムのクラウド化を進めてきたピー・ビーシステムズは現在、あらゆる企業にとって他人事ではない「0.01%」のリスクに向き合い、新機軸となるコンセプト「必須のレジリエンス」を掲げた。

「自分たちが社会に果たすべき役割は何だろうと、起業からずっと自問自答していました。それを集約したのが『必須のレジリエンス』。やっとこの言葉に巡り合えたって感じですね」と語る冨田和久社長と、新コンセプトの中心メンバーである製造本部副本部長の福田聡氏に話を聞いた。

冨田社長(左)と福田氏(右)

20年以上前からテレワーク環境の導入サービスに着手

ピー・ビーシステムズが現在の主力事業である基幹システムのクラウド化に舵を切った経緯、クラウド化に欠かせないシトリックス社の製品との出合いについては、前回の記事(https://qualities.jp/offer/article/pbsystems-2)で詳しく触れているのでご確認いただくとして、同社は今でこそ一般的なサービスとなったクラウドシステムを、20年以上前から手掛けてきた先駆者といえる。クラウド化の活用例であるテレワーク環境の導入サービスにおいても、コロナ禍の前後といった時間軸ではなく、そのはるか前、まだスマホすら世の中になかった時代から同社では取り組んできた。

新型コロナウィルスの感染拡大、そして働き方改革の推進により一気に市民権を得た「テレワーク」や「ワーケーション」といったワークスタイルには、オフィスと自宅や旅行先をつなぐシステムや機器が必要となる。急激なニーズの高まりをみせる中で、ピー・ビーシステムズが一貫して提唱してきたのは、テレワークならぬ「ハイパーテレワーク」。技術的な説明は割愛するが、「何らかの不便はありながら、自宅にいてもオフィスと同程度の仕事ができる」状態をテレワーク環境とするなら、「自宅でオフィス以上に快適に仕事ができる」状態=ハイパーテレワーク環境の整備を同社では推進してきた。事実、ピー・ビーシステムズの基幹システムを導入している顧客企業では、コロナ禍で突然、自宅待機を余儀なくされた状況下にあっても、何ら影響を受けることなく予定通りにプロジェクトを進めることができたのだ。

「絶対に止まらないシステム」という幻想に潜むリスク

 

さて、新コンセプト「必須のレジリエンス」である。「レジリエンス(Resilience)」とは、元々ラテン語のResilire(=跳ね返す)を語源とする学術用語。「弾力」「復元力」「回復力」などと日本語訳されることが多く、近年、様々な分野で使用される頻度が高まっている。コンセプト名に「必須の」と銘打つまでに、ピー・ビーシステムズが「レジリエンス」の必要性を感じた直接のきっかけは、顧客先で起きたシステム障害。マルウェア(=有害な不正プログラム)に感染したことで、システムが止まってしまったのだ。ピー・ビーシステムズはネットセキュリティ対策を手掛ける企業ではないので、感染は自社の手の及ばぬところで“不運にも”起きてしまったこと。しかし、システム障害からの復旧を試みる中で、冒頭で書いた「99.99%」を過信することのリスクを確信したと、福田氏は振り返る。

「当社を含め、どのシステム会社も顧客のシステムが止まらないように構築するし、顧客側もマルウェアに感染しないような対策は施しています。それでも、システム障害はゼロにはならない。自社の顧客という、一番起きてほしくない対象がサイバー攻撃を受けたことで、そのことを痛感しました。例え話ですが、99.99%止まらないシステムがあったとして、1年のうち残りの0.01%だけ止まるとすると、52.5分に相当します。1年のうちたった1時間弱って思うかもしれませんが、システムが1時間止まることの機会損失やエンドユーザーに与える影響は計り知れません。また、1時間と言うのはあくまで例え話ですから、実際にシステム障害が発生した際に復旧にかかる時間はそれ以上になることが大半。東証のシステム障害は取引が終日停止しましたし、当社の顧客のシステムやデータが復旧するまでには2週間を要しました」

「0.01%のリスクをどう捉えるかで、会社の命運が変わるかもしれません」と福田氏

止まらない前提でシステムを構築し、“万が一”サイバー攻撃を受けて障害が発生した際の準備があまりにもなされていないという日本のシステム環境の実態が、昨今頻発するシステム障害につながっている。そして、コロナ禍の突貫工事で急速に広まったテレワーク環境の脆弱性を突いて、今後、その被害が拡大していくことは想像に難くない

「当社のハイパーテレワークと差別化するために敢えて強い言葉を使いますが、今の“なんちゃってテレワーク”の環境って、会社の金庫にしまっていた財布が、各社員の家庭に置かれているような状況です。泥棒から見れば隙だらけ。そのリスクに社会全体が気付いていない。そこに危機感を覚えますし、苛立ちすら感じています」

冨田氏が抱くこの焦燥感が「必須のレジリエンス」へとつながっていく。

システムを強靭化して復元力を加える「レジリエンス」の重要性

テクニカルな話をできるだけ省き、ピー・ビーシステムズが提唱するレジリエンスサービスの要点だけを説明すると、リアルタイムで更新され、過去に戻ることもできるバックアップデータを取得できることが大きな特徴。通常のバックアップソフトであれば、バックアップした時点で“過去の”データになってしまうが、「必須のレジリエンス」では、常に最新のデータとして累積される。そして、サイバー攻撃などで何らかの障害が発生した際には、過去にさかのぼって被害を受ける前のデータに復元できるのだ。また、パックアップデータを複製して異なる場所に保管できるので、自然災害からの復旧、企業の事業継続計画といった観点からも効果的。さらに、有事の際だけではなく、例えばECサイトで何らかのテストをしたい場合に、稼働しているECサイトの営業を止めることなく、且つ、稼働中のサイトとまったく同じ環境でリアルなテストを行い、不具合を未然に洗い出すといったバックアップデータの活用もできる。

このようなメリットを有する「必須のレジリエンス」に欠かせないのが、アメリカ・ボストンに本社を構えるソフトウェアメーカー「アクティフィオ」社の製品。ピー・ビーシステムズは2020年11月にアクティフィオ社と一次代理店契約を締結。日本企業としては8社目の契約となるが、他の一次代理店が日本を代表する大手IT企業である中、社員数50名足らずのピー・ビーシステムズは異彩を放っている。

「ギャップ戦略ですよ」と冨田氏は冗談めいて話すが、この図式は、ピー・ビーシステムズが創業して間もない頃、当時まだ無名だったシトリックス社の製品に可能性を見出し、パートナー契約を結んだ状況と同じ。その後、シトリックス社は世界的なIT企業へと成長し、ピー・ビーシステムズはシトリックス社の製品を使った仮想化(クラウド化)の技術力において、日本一の認定を受ける存在となった。「アクティフィオは、まだ上場すら果たしていない企業です。シトリックスの時みたいに、一緒に成長していけるといいですよね。そのポテンシャルを思いっきり感じてます。だって、アクティフィオの製品を組み込んだ『必須のレジリエンス』は、“日本を救う”と確信してますから」

※編集部注
2020年12月14日、アクティフィオ社はGoogle Cloudの一部となったことが発表された。<https://cloud.google.com/blog/products/storage-data-transfer/google-enters-agreement-to-acquire-actifio
後日取材で冨田氏は「Google Cloudという抜群のネームバリューによって、アクティオ社の知名度アップにもつながることを期待して見守っています」と語っている。

「必須のレジリエンス」を武器に、福岡から日本を救う

冨田氏が日本を救うとまで言い切るのには、自社のレジリエンスソリューションに絶対的な自信をもっていることに加え、ピー・ビーシステムズが顧客の「基幹システム」に関与する企業であることも起因している。基幹システムとは読んで字のごとく、企業活動の根本的な部分を支えるシステムのこと。在庫や仕入れの管理、販売、生産、会計、人事給与など多岐にわたるが、特定の業種に限った専門的なシステムではないという点に特徴がある。いわば、企業であれ自治体であれ、団体として情報を共有して仕事をする組織であれば、どの業種においても必要となる基幹システムがピー・ビーシステムズの専門フィールド。それだけに、すべての業種が顧客となり得るのだ。そして、ピー・ビーシステムズのエンジニアは全員が基幹システムのクラウド化に関するスペシャリストである。ここまで同じ業務に特化したエンジニア集団は、日本中を見渡しても数少ない。だからこそ、今後も広がり続ける業務のデジタル化の中に潜むリスクにいち早く気付き、基幹システムにレジリエンス(強靭化・復元力)を加えられるのは自分たちしかいないと、冨田氏は使命感に燃えている。

「1997年に起業してから、主に仮想化(クラウド化)というテクノロジーで顧客の基幹システムを快適に、強く、柔軟にすることに力を注いできました。一言でまとめちゃうと、すべては『顧客のメリットを追求する』ためにやってきたこと。顧客のために強いシステムって何だろう、快適なシステムって何だろうと、ずっと考え続けてきました。それを集約したキーワードが『レジリエンス』。企業の屋台骨を支える基幹システムを強靭化し、有事の際には速やかに復元する。当社がやるべき仕事はこれだって、すとんと腹に落ちた気がしています。うん、間違いない。『必須のレジリエンス』、このコンセプトは必ず日本のためになりますよ」

ピー・ビーシステムズが本社を構えるのは福岡市。多くの地方都市が人口減少という問題に直面する中、人口増加を続け、今、全国で最も勢いのある都市と言っても過言ではない。福岡市の中心である天神では、2024年までに30棟の民間ビル建て替えを目標に掲げた再開発プロジェクト「天神ビッグバン」が着々と進行している。withコロナ、afterコロナのワークスタイルに対応し、感染症対策を施したビジネスビルが、日本全国のどこよりも早く福岡市に誕生しようとしている。そして、最新鋭の設備や構造は大きな注目を集めることだろう。でも、福岡がすごいのはハードだけじゃない。コロナ禍やDXの推進といった時代の変遷に潜むITシステムのリスクに立ち向かい、「レジリエンス」を武器に日本を救おうとする稀有なスペシャリスト集団が福岡にいるということも、ぜひ知っておいてもらいたいのだ。

写真提供:福岡市

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EDITORIAL NOTE
取材後記

担当・近藤耕平

今回のインタビューの中心テーマとなった、ピー・ビーシステムズの新コンセプト「必須のレジリエンス」。レジリエンス?どこかで聞いたことがあるような、ないような…。そんなモヤモヤが晴れないまま取材に臨みましたが、2020年11月に野口聡一さんらを乗せて宇宙へ飛び立った宇宙船が「レジリエンス」だったことを、家に帰ってから思い出しました。「新型コロナウィルスで苦しむ世界が“元に戻る(=レジリエンス)”ための力になりたい」、宇宙船レジリエンス号にはそんな思いが込められているそうです。ピー・ビーシステムズのレジリエンスに込められたのは「システム障害に苦しむ顧客を元に戻すための力になる」という決意。「このコンセプトは必ず日本のためになりますよ」、力強い冨田社長の言葉が心に残りました。

近藤耕平

近藤耕平

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1979年福岡県北九州市生まれ。早稲田大学卒業後、スポーツ新聞社勤務を経て福岡へUターン。エリア情報誌の編集者、コピーライターとして活動後に独立。年間100名以上のインタビュー取材を行っている。『うどんWalker福岡・九州』『まったく新しい糸島案内』シリーズ(以上、KADOKAWA)などを手掛ける編集者としての一面も。

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