福岡市にある官民共働型のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」。市内中心部の廃校となった大名小学校跡地に2017年に誕生したこの施設には、現在約180社のスタートアップなどが入居している。
入居する企業の多くは会社設立前後の「シード期」にあたる段階。まだ、商品やサービスがカタチになっていない状況のスタートアップも多い。そんな、まだ“よちよち歩き”の入居スタートアップに対して、FGNでは第2期の運営がスタートした2019年5月からの約3年間で、179億円余りの資金調達を実現。さらに、資金面のみならず、会社経営にまつわる多様なスキル・知識の向上を図るための育成プログラムを実施するなど、多方面からのサポートを行っている。
起業を考えている福岡市民はもちろんのこと、他エリアから福岡移住し新たなビジネスを考えている若き起業家にとって「気になる」施設=FGN。そこで今回、QualitiesではFGNに入居中の3社に取材。各社の代表に、事業に込められた想いやFGNに入居してみての素直な実感などを聞いてみた。

写真左より 株式会社Kiwi大石代表/株式会社SmartInn 松木代表/株式会社botto水田代表
飲食店に特化したチームアップツール「株式会社botto」
「せっかく採用しても、すぐに人がやめてしまうのはなぜだろう」
これが、「botto(ボットー)」を立ち上げる原点となった水田代表の疑問だった。といっても、自身が経営者の立場で採用していたのではなく、当時の水田氏は、求人広告の営業マン。人が辞めるたびに求人広告を受注できるので、営業的には有難い状況だった一方で、どこか虚しさを感じていたそうだ。
「みんなが辞めずに活き活きと働くにはどうすればいいんだろう? という問題意識がずっとありました。そこで着目したのが、仕事の原体験となるアルバイト。なかでも、大学生の約半数が経験している飲食業のアルバイトです。
学生にとって最初の仕事であるアルバイトが楽しい経験となり、人を喜ばせる仕事でお金をもらうことのやりがいを見出せれば、その後、どんな仕事についたとしても原体験の感覚って残るはず。大袈裟かもしれませんが、世の中もっと良くなるんじゃないかって思ったんですよね」
そんな水田氏の想いがつまった「botto」は飲食店などの店舗型ビジネスに特化したチームアップツール。2019年11月からサービスを開始している。
その最大の特徴といえるのが、各スタッフがスマホで気軽にその日の仕事を振り返ったり、アイデアを提案できたりする機能。意見のやりとりを、店長とスタッフ間のクローズなものにとどめず、店全体で共有できることも「botto」ならではだ。
既に福岡市内の約60店舗で「botto」は使われており、採用店舗のラインナップを見ると、福岡でも名の知れた繁盛店がずらり。みんなで店づくりに参加できるという一体感が「botto」の活用によって生まれている。

「botto」には、4つの質問で日々の仕事を簡単に振り返れる機能、スタッフの声を店全体で共有する機能、スタッフからの意見やアイデアを店長が忘れずに管理できる機能などが用意されている
「スタッフが増えてくると、出勤時と退店時の『お疲れ様です』『お疲れ様でした』しか店長とスタッフの会話がなくて、あとは連絡事項をグループLINEで確認するだけ、なんて状況が飲食店では決して珍しくありません。これでは、チームビルディングも何もあったものじゃないですよね。そんなミスコミュニケーションを埋めるツールとして『botto』を開発しました。
『お互いに何を考えているかが分かるようになった』、『接客や盛り付けなどのアイデアを出しやすくなって、モチベーションが高まった』など、好意的な意見をたくさんいただいていますが、店長さんから『スタッフが活き活きと働いてくれるようになったんです』と言ってもらえると、何より嬉しいものですね」(水田氏)
現在、「botto」はWEBアプリから、ネイティブアプリ化への転換を図っている最中。将来的にはツールの機能を強化し、つなぐ人の範囲や業態を広げていきたいと水田氏は「botto」に込めた夢を語る。
「1店舗内でのコミュニケーションだけではなく、店長とマネージャー、社長といった経営層の意思疎通にも使われるツールにすることが目標。スタッフの教育をはじめ、他店舗の良い取り組みを横展開しやすくするのに『botto』を活用できればと考えています。
また、飲食だけでなく、小売りなど他の業態への転用も将来的には構想中。『仕事を頑張ってお客さんに喜んでもらうのって楽しい』そんな体験を、もっと多くの人が感じられるきっかけに『botto』がなれるように、まだまだ道半ばです」
FGNへのネガティブな先入観と入居しての実感
水田氏が起業したのは2018年のこと。2022年に3月にFGNに入居するまでに数年のタイムラグがある。その理由について「起業した当初は、FGNになんて入らないって意地を張ってました」と水田氏は正直に打ち明ける。
「入居する前はFGNを『パリピがワイワイやってる、馴れ合いの集団」と何も知らないのにただの思い込みで勝手に決めつけていました。ユーザーじゃない横の繋がりに時間を割くよりも、ユーザーにとことん時間を使って課題を深く知るべきだし、プロダクトづくりに全ての時間を注ぐべきだと。
まぁ、実際は頼る人がいない孤独感にさいなまれていたし、寂しかったんです(苦笑)。ただ、一人で解決しないとこの先、成功なんてありえないと思い込んでいたし、強がることで(一人で戦う)自分自身を鼓舞していたのかもしれないですね」
その後、知人の紹介によってFGNに入居することになった今、当時の印象が180度変わったと水田氏。
「入居している他のスタートアップの皆さんや事務局の方と話すことで、自分の無知を思い知らされましたね。『そんな方法あるんだ』とか、『そういう考え方をするんだ』とか、毎日のように発見の連続。それをまた、みんな惜しみなく教えてくれるんですよね。プロダクトに関するテクニカルな面でも、スタートアップとしてのマインドの面でも、入居して確実にブラシュアップされていると感じます。
僕にとっての起業のバイブルだった『スタートアップマニュアル』って本には、仲間と横のつながりをつくろうなんて書いてなかったんですけど、同じスタートアップの仲間と交流することは大事です。がむしゃらに頑張ったところで、1人で知り得る情報とか人脈なんて知れてますから。どの口がって言われそうですが、なんでもっと早く入居しなかったんだろうって思いますね(笑)」
医療機器に関わるすべての人に、安全と安心を「株式会社Kiwi」
株式会社「Kiwi(キウイ)」の大石代表は、起業家であると同時に、フリーランスで活動する臨床工学技士という別の顔をもつ。
臨床工学技士とは、病院内で使用されるさまざまな医療機器を扱うスペシャリスト。医療機器の種類は、人工透析装置や新型コロナウイルス感染者への治療で注目を集めたECMO(体外式膜型人工肺)といった生命維持に関わるものや、点滴用の輸液ポンプなど多岐にわたる。
臨床工学技士として、いくつかの病院で働きながら感じた危機感が、大石氏を起業へと向かわせることになった。
「歯科医院を除くと全国に病院・クリニックは約10万施設あります。一方、病院・クリニックに勤務している臨床工学技士は約2万8000人。単純計算で数が足りませんよね。臨床工学技士のいない中小規模の病院・クリニックでは、医師や看護師が医療機器を操作、管理することになりますが、機器を正しく扱えているとはいえないのが実情です。
機器の異常を知らせるアラームが鳴りっぱなしで、その解除方法が分からずに右往左往していたり、他の業務が忙しすぎて定期的な機器の点検が疎かになっていたり…。これでは患者さんに対して医療の最低限の質が保てないという危機感が、『Kiwi』を起業することになった原点です。
そして、医師や看護師が医療機器を使いこなせていない大きな理由の一つとして、各機器の説明書が分かりにくいことがあります。分かりにくさに加えて、機器そのものについての解説しかないので、いざトラブルになった時に、患者さんにどう対処すればよいのかという肝心なことが書かれていない。そこで、現場の実情に即した医療機器の使い方を手軽に検索できるアプリを開発することに決めました」(大石氏)
大石氏は2020年12月にFGNに入居する。経産省主催のイノベーター育成プログラム「始動NextInnovator2020」で出会った仲間が既にFGNに入居していたことが、入居のきっかけ。加えて、医療にまつわるビジネスを進めていく上で、行政との連携は欠かせないと考えていたため、官民共働型の施設であるFGNは理想的だった。
まだ会社を立ち上げていないような「プレシードクラス」段階の入居者に向けた育成プログラムの受講を経て、大石氏は2021年の9月に「株式会社Kiwi」を起業。しかし、アプリの開発は暗礁に乗り上げていたそうだ。
ヒト・モノ・カネすべてが不足している中でも、最大のネックとなったのが「人」の問題。エンジニアを探すことに苦労したと大石氏は振り返る。
「システム会社をあたってみたのですが、どこも『まずは要件定義をしてください』というところからのスタートで…。確かにそうなんですけど、私自身システムに詳しいわけじゃないし、何を伝えればいいんだろうという最初の段階で頓挫しました。
頭を抱えつつ、FGNの事務局に相談して紹介してもらったのが、同じくFGNに入居している『株式会社ゼロイチハッカー』のエンジニア。スタートアップのシステム開発に強みをもつエンジニアチームなので、いろんなことが整っていない状況を分かってくれるし、仕様の決め方から丁寧にアドバイスがもらえたので、そこから一気に開発が前に進んでいきました」
医療機関、医療機器メーカー、医療従事者をつなぐアプリが完成
“医療機器のわからない”を解決するアプリ「キキサポ」は、2023年1月にベータ版が完成予定。大石氏は医療安全に関する学会で中小規模病院における医療機器運用の実情を訴えたり、医療機器メーカーに対してアプリへの協力を営業提案したり、全国の臨床工学技士のネットワークを広げて、各機器のコンテンツをつくる仲間を集めたりと、精力的に活動している。
「キキサポ」がめざしているのは、単純な医療機器マニュアルにとどまらない、医療機関、医療機器メーカー、医療従事者をつなぐ役割を担うアプリだ。

「キキサポ」は、医師や看護師が扱う機会の多い、輸液ポンプなどの簡単な医療機器から掲載して、徐々に機器のジャンルを増やしていく計画を練っている
「まずは、より多くの医療機器メーカーに協力してもらって、アプリで使い方を検索できる機器の数を増やすことが、最優先で取り組むべき課題。加えて、医療従事者がアプリ上で疑問や質問を投稿できるようにして、最終的には、現場の声を反映させた医療機器の開発につなげたいというのが大きな目標です。
優秀な一部の人間だけではなく、誰が使っても操作ミスなく使える機器を開発することで、アプリユーザーである医療従事者の業務負荷軽減、そして、患者さんに最適な医療行為を届けることへと貢献していきたいですね。『キキサポ』のアプリ開発は、そんな夢の実現に向けた第一歩です」(大石氏)
医療機器に関わるすべての人に、安全と安心を―。1人の臨床工学技士にすぎなかった大石氏が立ち上げた、医療「機」器と「医」療スタッフを「結う」プロジェクト。「機」「結う」「医」=【Kiwi(キウイ)】は、既に「福岡よかとこビジネスプランコンテスト」の大賞をはじめ、ビジネスコンテストでの受賞実績多数。アプリ「キキサポ」の完成を機に、今後の飛躍に期待が集まっている。
1人からでも始められる、おもてなしのDX「株式会社SmartInn」
コロナ禍で大きな影響を受けた業界の1つである宿泊業界。コロナによる非対面化の推奨に加えて、DX推進という時代背景もあって、無人のフロントで自動チェックインができる宿泊施設は増えている。
宿泊施設側にしてみれば、自動チェックインシステムはフロントに人を置かずに済むため、省人化、業務効率化につながるメリットがある。しかし、民泊やゲストハウスといった小規模宿泊施設の場合、システム導入にあたっての経済的なハードル、あるいは、フロントにチェックイン用の機器を置くスペースがない、置けても電源がないといった物理的なハードルなどから、自動化を進めたくても進められないという現実がある。
自身も小規模な宿泊施設を営む「株式会社SmartInn(スマートイン)」の松木駿代表は、スマートチェックインサービス「SmartInn」を2022年4月にリリース。1人からでも始められる“おもてなしのDX”というテーマで、類似サービスとの差別化を図っている。
「SmartInn」は宿泊者が施設に設置されたQRコードをスマホでスキャンするだけでチェックインできるサービス。チェックイン専用の端末を置く必要がなく、施設入口のドアなどにQRコードを掲示しておくだけで準備が整う。初期投資や設置スぺースのハードルを低くして、中小規模の宿泊施設にも導入しやすいサービスとなっている。
こうした業務効率化は「SmarInn」導入の分かりやすいメリットといえるが、それはあくまでこのサービスがめざす最初の段階にすぎないと松木代表は語る。

「SmartInn」の導入に専用のチェックインマシンやタブレット端末の設置は不要。フロントを設置できない小規模宿泊施設のみならず、グランピングやキャンプ場などの屋外施設でも利用しやすい
「自分で宿泊施設を運営しながら、『宿泊してくれる人にもっと喜んでもらうには、どうすればいいだろう』という想いが常にありました。漠然とですが、顧客満足度を上げるためにデジタルを活用することで何かできないかと考えたのが『SmartInn』の原点。まだサービスが始まったばかりなので業務効率化の面が強調されていますが、本来、このサービスでめざしているのは、顧客満足度の向上と、それに伴った宿泊施設の売上アップです。
手書きの宿泊台帳では拾いきれなかった宿泊者データを活用すれば、宿泊施設のおもてなしを宿泊者が望むものへとブラッシュアップさせることが容易になります。従来の顧客データ分析ソフトと違って、『SmartInn』はモバイルファースト。自分が小規模施設を経営しているので実感しますが、少ない人数で宿泊業をやっていると、がっつりパソコンの画面と向き合って作業する時間なんてとれません。でも『SmartInn』があれば、現場で動き回りながら、スマホで手軽にデータが見られて、かつ、当社のデータサイエンティストが経営面のサポートにまで関わっていくこともできるのかなと思います」
「SmartInn」を活用した顧客満足度向上の実例として、松木代表自身が経営する小規模宿泊施設では、なんとなくの感覚ではなく、数値として宿泊者のデータを分析。施設に設置する貸出し品などのサービスを見直した結果、宿泊者によるレビューが向上し、リピーターも増加した。結果、コロナ禍で落ち込んだ稼働率を、90%の水準にまで持ち直すことに成功している。
FGNの基礎的なプログラムでPRの効果がアップ
松木氏がFGNに入居したのは2021年6月のこと。会社を立ち上げてまだ2ヶ月というタイミングだった。メンタリングを受ける先輩経営者、システムの中身を相談する専門家など、人のマッチングや情報収集の面でFGN入居の利点を感じつつ、自社サービスのPRをサポートしてくれることが何より有難いと語っている。
「プログラミングは僕もスクールで学んだことがあるし、社内にエンジニアもデザイナーもデータサイエンティストもいるので、プロダクトをカタチにすることはできるんですが、それを世の中に広く知ってもらうためのプロモーションについては、全員が素人なんです。
プレスリリースをどう書けばいいのかなんて誰も知らなかったので、最初は完全に我流。FGNでプレスリリースやニュースリリースを配信する『PR TIMS』というサービスがあるんですが、そこに出す文章も最初は自分たちで考えていました。でも、全くといっていいほど反響がなくって…。
それで、FGNの『広報/PR人材育成プログラム』に参加して、プレスリリースの書き方を教わったら、その後のプレスリリースで明らかに反響が違って、引き合いがあったんですよね。
『世間が知りたいこと、興味があることと自社のサービスを紐づけてリリース文章を考えないと、誰も見てくれないよ』なんて、プロモーションでは当たり前のことなんですが、恥ずかしながらそんなことすら分かっていませんでした。初歩の初歩から教えてもらえたことが、本当に助かりましたね」
リリースから数ヶ月、まだ始まったばかりではあるが、松木氏は「SmartInn」の活用で地方を元気にしたいという未来を描いている。
「僕が旅行好きで、海外や日本全国を旅してきたのですが、日本の各地方の観光資源のポテンシャルってすごいと思うんです。でも、人口減少とか働き手不足とか、そこにコロナが追い打ちをかけて、魅力的な地方の宿や観光施設が廃業したり、空き家が増えていたりする現実があります。
受付用紙を電子化して収集したデータを活用すれば、宿泊施設以外の観光施設などにも『SmartInn』のサービスは転用可能。インバンド需要も回復へと向かうでしょうから、地方都市で少人数で頑張っている人たちの力になって、世界中に地方の魅力を発信するサポート役へと、この会社を成長させていくことが大きな夢ですね」
FGNはスタートアップにとっての“ゆりかご”
FGNの育成プログラムと全面的なサポート、入居企業同士の横のつながりから生まれるさまざまなシナジーは、起業家たちの背中を強く押してくれている。今回取材した3社の代表はそのことを強く実感しているようだった。
株式会社botto、株式会社Kiwi、株式会社SmartInn。スタートアップ都市・福岡から生まれたこの3企業は、手掛けるサービスも対象となる業界も異なる。しかし社会に対する問題意識や危機感が起業の原点となり、自社のプロダクトによって世の中をより良いものへと変えていきたいという熱い想いは同じだ。
FGNでスタートアップ支援に関わる事務局員の崎山勇気氏は、起業家たちの熱い想いが何よりも尊いと語る。
「FGNは、そんな熱意とビジネスの種だけもって、悪戦苦闘しながらも幸せそうに頑張っている起業家たちのための施設。スタートアップにとっての“ゆりかご”のような存在として、起業家のはじめの一歩を後押ししていきます。そしてFGNを巣立っていった後も、継続的なサポートを続けていきたいと考えています」(崎山氏)
この3企業はFGNを“卒業”した後、どのように成長を遂げるのだろうか。近い将来、彼らが社会にポジティブな影響を与えていくことを願ってやまない。
水田匡俊さん
みずた まさとし。1985年静岡県生まれ。同志社大学経済学部を卒業後、株式会社インテリジェンスへ入社。メディア事業部にて求人広告の営業を担当する。その後、株式会社SRA西日本へ転職。大学向けに授業支援・学習管理システムなどの営業開発支援を経験。2018年1月、「株式会社and GO」を設立。2021年5月、商号を現在の「botto」に変更。
大石杏衣さん
おおいし あい。1980年福岡県福岡市生まれ。福岡医科歯科技術専門学校を卒業後、複数の病院にて臨床工学技士として勤務。2019年に独立し、フリーランスの臨床工学技士として、医療機器の安全管理・教育支援活動を開始。2021年9月、「株式会社Kiwi」設立。
松木駿さん
まつき しゅん。1989年福岡県芦屋町生まれ。福岡の不動産会社に勤務し、宿泊事業の立ち上げに参加。100件あまりの民泊、小規模宿泊施設に携わり、運営管理代行、企画設計などを手掛ける。2018年より福岡市博多区にて一軒家のワンフロア貸し切り型宿泊施設「三箱院 福岡」を運営。2021年4月、「株式会社SmartInn」設立。
撮影/東野正吾
取材後記
担当・近藤耕平
「起業をぼんやり考えている段階から、福岡だったら1人でゼロから情報収集しなくても何とかなりそうという漠然としたイメージがありました」と、今回取材したスタートアップの代表が、起業前のことを振り返りながら語っていました。その、“何とかなりそう”を支えている施設の1つが、2017年からスタートアップを継続的に支援してきたFGNであることは間違いありません。
取材中、自社のプロダクトに込められた想いや、将来的な夢が語られる一方、壮大なビジョンとは裏腹に、ヒト・モノ・カネがどれも足りないといった、起業間もないスタートアップのリアルが垣間見えたことも事実。
成功を収めたベンチャー企業も、その原点となったのは、今回話を聞くことができた3名と同じ、世の中を変えたいという想いだったはずです。だからこそ、その最初の一歩を力強く支えるFGNのような施設が福岡にあることは、とても意義深いものだと感じました。