福岡市が新しい時代のビジネスハブの一つとして変貌を遂げつつあります。
2023年度には62社の企業が福岡市に新たに拠点を設け、3年連続で60社以上、11年連続で50社以上の企業誘致を達成しています。なぜ、国内外問わず多くの企業が福岡市内にビジネス拠点を構えるのか。どうして福岡は選ばれ続けているのか。さらに企業が集まってくることで福岡市はどうなっていくのか。本記事では簡単に解説していきたいと思います。
これで11年連続50社以上 なんで選ばれてるの?

〈▲ イメージ画像:PIXTA提供〉
福岡市の立地企業数は過去11年で、633社にもなります。ここで言う「立地企業」とは、福岡市進出に際し、同市が何らかの形で支援した企業を指しますが、どうして福岡市は企業に選ばれ続けているのでしょうか?
福岡市企業誘致課の楠本さんは「大まかに、5つの鍵となる理由があると考えています」と言います。

〈▲ 福岡市の楠本さん。福岡市に進出予定の企業や検討中の企業への情報提供から実際のサポート業務などを行う 写真:東野正吾〉
〈1つ目の鍵〉コンパクトシティ&QOL高い=ビジネスに最適な環境
「福岡市はコンパクトシティと言われますが、どこに行くにも非常にアクセスがいい。市内での移動はもちろんのこと他地域へのアクセスも抜群です。福岡空港は地下鉄利用で博多駅から6分、天神から11分という近さにあり、国内外の主要都市へのシームレスな移動ができ、ビジネスパーソンにとって理想的。
また福岡市民のまちに対する満足度は数字に現れるほど高い。個人個人のQOLは、日本のどの都市よりも高いという事実も、仕事の向き合う環境として優れていると評価されているのかもしれません」(楠本さん)
〈2つ目の鍵〉人口増加と豊富な若者人材
「福岡市は日本の指定都市の中で最も高い若者率を誇ります。また2040年まで人口が増加するとも予測されています。つまり人口も増えているし、若者も多いという、深刻な人口減少&少子高齢化に悩む日本にあって、数少ない成長している都市なんです。増え続ける若い労働力が、ビジネスや経済活動の下支えになり、またイノベーションを推進することにもつながるのではないか――福岡にやってくる企業はそんな期待を抱いているのだと思います」(楠本さん)
〈3つ目の鍵〉ビジネスにも有利なコミュニティ文化がある
「都市の規模は大きすぎず小さすぎず、協力と創造性が広がりやすい環境が整っているのが福岡の特徴であり、独自のビジネス土壌です。このような雰囲気が独自のシナジーを生み出し、新しいビジネスやプロジェクトを生みやすいとよく言われます」(楠本さん)

〈▲ イメージ画像:PIXTA提供〉
〈4つ目の鍵〉行政が民間企業をサポートする土壌がある
「これは手前味噌になりますが、行政がIT・スタートアップを全面支援していること、または民間企業と行政の垣根がないことも大きいと思います。たとえば官民共働型の施設『Fukuoka Growth Next』では、創業から事業拡大までの支援を提供しています。また民間事業者と福岡市をつなぐワンストップ窓口『mirai@』では民間企業のパイロットプロジェクトや革新的な取り組みをサポート。民間事業者からは『福岡市は話が早い』『他都市に比べて、職員の反応がポジティブで実際に動いてくれる』と評判です」(楠本さん)
〈5つ目の鍵〉災害時のバックアップ拠点となる
「政府の地震調査委員会は2024年1月、南海トラフ周辺で今後M8.0〜9.0の巨大地震が発生する確率を、10年以内では30%程度、30年以内では70〜80%程度、50年以内では90%程度もしくはそれ以上と発表していますが、福岡は南海トラフ地震の影響を受けにくいとされています。また、震度6弱以上の地震が発生する確率も低い。東京や大阪、名古屋などを拠点としている企業からすれば、福岡は災害時のバックアップ拠点となるので、そのあたりも福岡を選ぶ理由になっているようです」
これからの福岡はどうなる?

〈▲ 撮影:東野正吾〉
現在、進められている「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」により、福岡の中心地には高い耐震性や環境性能、セキュリティ機能などを備えたオフィスビルが増えつつあり、よりビジネスフレンドリーなまちになろうとしています。
「かつて福岡はオフィスの問題があったのですが、それが一気に解消しています」と楠本さん。
台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出や半導体関連メーカーによる九州各地での設備投資による経済波及効果は、10年間で20兆円規模になると見込まれています。そんな中、今年、金融庁の「金融・資産運用特区」にも選定された福岡市には、成長するアジアの活力を取り込みながら、福岡のスタートアップや九州に集積する成長産業に資金を供給し、そのエコシステムを一層強化していくことが求められています。
そんな勢いのある福岡市でビジネスをしてみませんか? そして東京では見出だせないオルタナティブな価値を創出してみませんか? 福岡市の高島宗一郎市長から、企業のみなさまへ以下のコメントが届いています。
「こんにちは、福岡市長の高島宗一郎です。福岡市では、100年に1度とも言われる都市のアップデート『天神ビッグバン』、そして『博多コネクティッド』で、ハード面であるオフィスの整備が進む一方、ソフト面では産学官の組織『TEAM FUKUOKA』を結成し、国際金融機能の誘致に力を入れています。これらの取り組みにより、高付加価値なビジネスを集積させ、地元の若者や意欲ある人材が、東京や海外に行かなくても、大きな夢が叶う街にしていきたいと考えています。アップデートを続ける福岡市の仲間として、皆さま方に来ていただくことを心よりお待ちしています」

〈▲ 撮影:東野正吾〉
福岡市は、企業の成長と発展を支えるための環境を整え続けています。この勢いを活用し、新たなビジネスチャンスを掴むために、福岡市への本社移転や新拠点開設をぜひご検討ください。
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取材後記
担当・Qualities
福岡市がビジネスハブとして急速に発展している背景には、複数の要因があります。
その中で市の行政が積極的に企業誘致を推進し、インフラ整備やスタートアップ支援などを行っていることが、国内外の企業に選ばれ続ける理由の一つであるのは間違いないでしょう。
福岡市の楠本さんによる、市内の移動の便利さや生活の質の高さが、ビジネスパーソンにとって魅力的な環境を提供しているという話。また、若い労働力が豊富であることも、企業が福岡を選ぶ理由の一つとして大きな要因となっていること指摘も興味深いものでした。
福岡市が進める「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」などのプロジェクトが、都市のハード面とソフト面の両方をアップデートすることによって、今後ますますビジネスに適した都市となっていくことが期待されます。
福岡市が新しい時代のビジネスハブとしてどのように変貌を遂げていくのか。クオリティーズは、今後もこの都市の発展を注視していきたいと思います。













